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Archive for the ‘PTGの文献・出版物’ Category

Johnson et al. (2017)

11月 25, 2017 コメントをどうぞ

Johnson, J., Panagioti, M., Bass, J., Ramsey, L., & Harrison, R. (2017). Resilience to emotional distress in response to failure, error or mistakes: A systematic review. Clinical Psychology Review, 52, 19-42. doi: 10.1016/j.cpr.2016.11.007

心的外傷後成長のプロセスを見る研究では,出来事が予期せず襲い掛かってくるようなパターンが多い.心の準備もままならない間にさまざまなことが降りかかってきて,心の整理がつかない.なすすべもなく,どん底に突き落とされてそこからまたどう生きるか.そこでの葛藤や心のもがきとPTGは親和性が高い.けれども,なすすべがいくらでもあったのに,自分にできることがたくさんあったのに,それをしなかったために出来事が起きてしまった時はどう考えたら良いのだろう.どん底に突き落とされたのではなく,自業自得の場合.いくらでも防げたのに...3年くらい前から私の研究室ではそういう状況でのPTGも研究してきていて,やっとデータが揃い始めた.今日はそのデータをまとめる上で参考になりそうな論文をレビューしたい. 続きを読む…

カテゴリー:PTGの文献・出版物

宅 (2017) レジリエンスとPTG

9月 11, 2017 コメントをどうぞ

2017年9月に金剛出版から発行された「臨床心理学」の雑誌(17巻,5号)でレジリエンスについての特集が組まれました.私も,「レジリエンスとPTG(心的外傷後成長)」というタイトルで寄稿しました(P.654-658).

「レジリエンス―それは大変つらい状況に陥ったとき,どんどん深みにはまってゆくのではなく,持てるものをなるべくうまく使って,そこから抜け出すことができるイメージだ.ただ抜け出すだけではなく,その経験を糧にできる,そういった強さやしなやかさも感じられる(中略).PTG(Post-traumatic Growth)-それは大変つらい状況に陥ったとき,抜け出したくても抜け出せず,解決するすべもなく,ただもがくなかで,表面的にはほとんど何も変わっていない.よりうまく適応できるようになったとは限らず,症状が必ずしも軽くなったわけでもないけれど,一人の人間としては成長しているとしか表現のしようがない変化を経験しているイメージだ(中略).本稿では,両者の関連を論じる(「臨床心理学」第17巻第5号,P.654,「I.はじめに」より抜粋). 続きを読む…

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Weststrate & Glück (2017)

8月 27, 2017 コメントをどうぞ

Weststrate, N. M., & Glück, J. (2017). Hard-earned wisdom: Exploratory processing of difficult life experience is positively associated with wisdom. Developmental Psychology, 53, 800-814. doi: 10.1037/dev0000286

PTGのモデルに含まれている構成概念で,これまで深く研究対象にしてこなかったものに「Wisdom(英知,知恵)」がある.英知の備わっている人のイメージとしては,杖のついたおひげのおじいさん.アルプスの少女ハイジに出てくるクララのおばあさん.穏やかで,動揺せず,先を見通していて,包み込むようなイメージ.でも必ずしも年をとった人だとは限らず,(具体的な例は思いつかないけれど)誰かがWisdomを発揮している場面にでくわすと,「うわあ...さすがだな」と思い,自分もそういう解決方法とか,咄嗟の行動とか,言葉のチョイスとかができたらいいのにな,とか思ったりする.また,自分で何かを決めた後で,もう一度よく考えてみたらそうするんじゃなかった,と悶々としたりして,せっかく「三人寄れば文殊の知恵」と言うことわざがあるんだから,色々な人の意見を聞けばよかったなと思うこともある.「健康(well-being)」や「幸せ(happiness)」,「満足(satisfaction)」などの軸とは,また別の「賢さ,英知(Wisdom)」の軸.私の大学はあと一週間で入学式.新学期が始まり,うちの研究室にも新しいメンバーが加わる.彼らとの新しいプロジェクトを考えるにあたってWisdomの研究はどういう手法を取るのか勉強しておきたくて夏休みの間に読んでいた論文がこれだ. 続きを読む…

Johnson et al. (2009)

6月 19, 2017 コメントは受け付けていません

Johnson, R. J., Canetti, D., Palmieri, P. A., Galea, S., Varley, J., & Hobfoll, S. E. (2009). A prospective study of risk and resilience factors associated with posttraumatic stress symptoms and depression symptoms among Jews and Arabs exposed to repeated acts of terrorism in Israel. Psychological Trauma: Theory, Research, Practice, and Policy, 1, 291-311. doi: 10.1037/a0017586

ああいうことがあったけれど,「私はお父さんとお母さんの子どもで本当によかった」,「日本人に生まれて心底よかった」,「この先生でよかった」などと感じるとき,その「よかった」はどういう意味だろうか.PTGで言うところの『人生に対する感謝』のようなものだととらえてよいのだろうか.では,こういうことがあって,「私はああいうお父さんとお母さんの子どもじゃなくてよかった」,「私はxx人に生まれなくて心底よかった」,「あっちの先生じゃなくてよかった」と感じたら,その「よかった」はどういう意味になるのだろうか.自分が所属する集団を好ましく認知し,外集団を批判したり排斥したりするそれを,エスノセントリズムの観点から検討し,PTGはむしろそれを招く,したがってPTGは有害な場合がある,と結論づけた研究が今日レビューする論文だ.多様性を認め,(自国から見た)歴史的背景を学び,さまざまな差別があることを知った上で,国全体に影響を及ぼすような大きな自然災害の後などに,「それでもやはり,日本に生まれて本当によかった」,「これからの日本の未来は日本人が決めるべき」,「外国人も日本に住んでいるなら,郷に入れば郷に従えで日本のルールに従うべきで,嫌なら出て行けばいい」と感じたら,それはマズイのだろうか.「ヘイト」にさえつながらなければ,意味云々は人それぞれで良いのだから,追究する必要はないのだろうか.Jonathan Haidtの『The righteous mind: Why good people are divided by politics and religion 』,もう一度,アメリカに帰ったら読んでみようかな. 続きを読む…

Dekel, Mandl, & Solomon (2013)

5月 4, 2017 コメントは受け付けていません

Dekel, S., Mandl, C., & Solomon, Z. (2013). Is the Holocaust implicated in posttraumatic growth in second-generation Holocaust survivors? A prospective study. Journal of Traumatic Stress, 26, 530-533. doi: 10.1002/jts.21836

私が所属しているOakland Universityの心理学部は進化心理学がものすごく盛んだ.うちの大学院に応募してくる学生の多くが進化心理学を学びたくて来る.そのため,どれだけ一人ひとりの院生が違うテーマを選んだとしても,その背後に,私達が生まれてくる以前の人類の歴史とか,人間以外の生き物の進化とかが必ずと言っていいほど入ってくる.私は自分自身がそういう授業を受けたことがないこともあり,勉強がなかなか追いつかない.で,そんな中から湧いてくる疑問.人は自分の先祖が経験したトラウマにどう影響されているのだろうか.トラウマの世代間伝達.このテーマに関しては,PTSDを中心としたネガティブな影響に焦点を当てて,かなり研究がなされてきているが,果たしてPTGにはどのような影響があるのだろうか.イスラエルの研究者ソロモンらが,その可能性を検討しているので,今日はそれをレビューしたい.結論から言うと,第二世代(つまり親がトラウマサバイバー)であるという事実はPTGに負の効果,つまりPTGを抑制するようだ. 続きを読む…

Fleeson (2014)

3月 4, 2017 コメントは受け付けていません

Fleeson, W. (2014). Four ways of (not) being real and whether they are essential for post-traumatic growth. European Journal of Personality, 28, 336-337. doi: 10.1002/per.1970

去年のサバティカルをきっかけに研究テーマを広げたので,勉強することがたくさんある.それぞれのテーマの背景や歴史を知らないこともあって,論文を読むのにも時間がかかる.とは言え,新PTGハンドブックの執筆は続いていて,今週は「PTGを本物―幻と分類すること」についてどう考えるか,という章を執筆している.来週からは臨床実践の章に入る.ちょうど昨日,うちの大学では大学院生の面接があったが,私のラボに応募してくる学生の多くがこの「本物のPTGと幻のPTG」というテーマを修論ないしは博論にしたいと考え,さまざまなアイデアを持ち込んでくる(ちなみにアメリカでは大学ごとの院試はなくて,GREというテストがあり,その結果とGPAとカバーレターと推薦書等を総合して決める).さて,院生のみならず多くの研究者がこの部分をなんとか解決しようとここ数年,躍起になっているが,「別に解決しなくてもいい場合もあるんじゃない?」という論考があったのを思い出したので,それをレビューしたい. 続きを読む…

「PTGの可能性と課題」(2016)

10月 26, 2016 コメントは受け付けていません

この11月,27名の著者からなる「PTGの可能性と課題」が金子書房から出版されます.ptg

―「はじめに」から一部抜粋―

本書は,「ポストトラウマティック・グロウス(心的外傷後成長)」,すなわち非常につらい出来事をきっかけとした人間としての成長という現象,およびその近接領域のテーマに関して,これまでどのような研究がなされてきたか,そして臨床実践がどう積み上げられてきたか,今後の可能性と課題を一冊に集約したものである.そのテーマは,ポストトラウマティック・グロウス(Posttraumatic Growth)の頭文字を取って,PTGと呼ばれている.PTGとは,心的外傷を引き起こすような大変つらい出来事や突然の不幸な出来事など,危機的な状況に直面した人々が,さまざまなストレスを経験しつつも,それと向き合う結果生じる人間としての成長を表す.」 続きを読む…

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