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Archive for the ‘PTGの文献・出版物’ Category

Tomich & Helgeson (2012)

6月 23, 2013 コメントは受け付けていません

Tomich, P. L., & Helgeson, V. S. (2012). Posttraumatic growth following cancer: Links to quality of life. Journal of Traumatic Stress, 25, 567-573. doi: 10.1002/jts.21738

PTGに関する研究が「研究のための研究」に陥る危険性と常に隣り合わせになっており,研究の意義が問われ続ける理由には,PTGそのものが介入の目標になりえないという点が挙げられる.それはDrs. Tedeschi & Calhounの論文の中でも繰り返し述べられているし,先のPTG&レジリエンス第3回研究会でも議論されたことである.この論文の著者もまた,アブストラクトを,「Clinicians should consider the notion that more growth may sometimes, but not always, be better」という一文で結んでいる.本研究は,がんの診断を受けた患者を対象に,PTGとQOL (Quality of Life)の関係を検討したものである.PTGの関連概念であるベネフィット・ファインディング(知覚された恩恵)を測定する尺度であるBenefit Finding Scaleを用いてこれまでに多くの論文を発表してきている二人の研究者が,この調査ではPTGIを用いているところが興味深い.ただし,PTGIをそのまま用いるのではなく,彼らなりに修正したものを使用している.このあたりも,先のPTG&レジリエンス第3回研究会で議論にのぼったように,尺度を対象・目的に応じてどんどん進化させてやるというアイデアのいい例になっている.

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Lykins, Segerstrom, Averill, Evans, & Kemeny (2007)

4月 8, 2013 コメントは受け付けていません

Lykins, E. L. B., Segerstrom, S. C., Averill, A. J., Evans, D. R., & Kemeny, M. E. (2007). Goal shifts following reminders of mortality: Reconciling posttraumatic growth and terror management theory. Personality and Social Psychology Bulletin, 33, 1088-1099. doi: 10.1177/0146167207303015

私の研究の大枠は,ノースカロライナ大学シャーロット校の心理学部の3人の教授,テデスキー,カルホーン,カン博士がこの15年くらい発表し続けているPTG理論モデルにのっとっている.PTG理論モデルというのは,本人にとって非常に大変でつらい出来事が起きたことをきっかけとして,PTGが生じるまでの流れを示したものである.例えば,「出来事の衝撃度がその後のPTGに影響を及ぼす」という仮説もこのモデルにのっとっているし,「起きた出来事に対して自らどう意味づけ考えたかがPTGに影響を及ぼしている」という仮説もこのモデルからうまれたものである.このモデルに対して異議を唱えている理論のひとつが,脅威処理理論ないしは脅威管理理論(Terror Management Theory: TMT)である. 続きを読む…

Milam, Ritt-Olson, & Unger (2004)

3月 22, 2013 コメントは受け付けていません

Milam, J. E., Ritt-Olson, A., & Unger, J. B. (2004). Posttraumatic growth among adolescents. Journal of Adolescent Research, 19, 192-204. doi: 10.1177/0743558403258273

私の研究室では,メンバーがそれぞれ順番に自分が特に興味を持ったPTGの論文について「自分が彼らの共同研究者だったら」という目線で発表する場をもうけている.発表者以外は私も含めていろいろな質問をするんだけれど,それに発表者がどう答えるかが見所になる.昨日はちょうどその日にあたり,一人の学生がこのMilamの論文を選んで発表した.その際の私の反応は,「おお,久々にクラシックな論文」.私は名古屋大学にいた博士後期過程の時からPTGにまつわる論文を集めては,自分なりに番号をつけて整理していて,今ではその番号は653になっている.この論文の番号は「24」.すごく古い.歴史あり.名古屋大学時代にコピーしているため,名古屋大学図書館のはんこ付きで,紙もちょっと茶色い.私が渡米後に英語で論文を書き始めて最初のうちよく言われたアドバイスは,古い論文ばかり引用しないで,新しいもの,印刷中のものをどんどん入れていきなさいというものだ. 続きを読む…

Ickovics, Meade, Kershaw, Milam, Lewis, & Ethier (2006)

3月 9, 2013 コメントは受け付けていません

Ickovics, J. R., Meade, C. S., Kershaw, T. S., Milam, S., Lewis, J. B., & Ethier, K. A. (2006). Urban teens: Trauma, posttraumatic growth, and emotional distress among female adolescents. Journal of Consulting and Clinical Psychology, 74, 841-850. doi: 10.1037/0022-006X.74.5.841

PTGの論文は大人が対象となっているものが多い.今,私の研究室では,日米の高校生を対象にPTG の心理教育プログラムを開発してその効果研究をしているので,高校生が対象となっているPTG論文はとても貴重な資料となる.Ickovicsらのこの論文は,高校生が対象になっているというだけでなく,他にもいくつかの点でとても興味深い.例えば,縦断研究であること,出来事が起きたタイミングによって分析していること,PTGIを高校生に分かりやすく変えていることなどだ.でもそんななかでも一番私が興味を持ったのは,PTGのきっかけとなる出来事の聞き方だ.

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Gregory & Prana (In Press)

2月 23, 2013 コメントは受け付けていません

Gregory, J. L., & Prana, H. (2013, online first publication). Posttraumatic Growth in Cote d’lvoire refugees using the companion recovery model. Traumatology. doi: 10.1177/1534765612471146

PTGは介入研究が難しい.PTGIを使って介入の効果を測定するのはもっと難しい.つらい出来事を経験した後でそこから何か恩恵や意味を見出すことができたかどうか,何か得たものがあったかどうかということとPTG,つまり人間としての成長を同じようなものだととらえるならば,何らかの介入の後で,今まで見えていなかったことに気づきを得ることは充分あると思う.というより,PTGは介入によって影響されるようなものではないということが言えてしまったらこわいし,PTGの研究者としては,介入の可能性があると信じてやっている.その上で,介入は本当に難しい.というのも,PTGはそれがなくても生きていけるようなものだと考えられているし,逆に,言葉にならないようなつらい思いを経験した人に,成長の可能性まで期待するなんて,そんな酷なことはないという見方をする人もいる.つまり,おまけのような要素が強いので,心理臨床家はそれを求めたり,ましてや成長を焦らせたりするようなことは絶対にあってはならないと言われている.そのために,PTGに直接第三者が介入できることを考えることにさえ,二の足を踏むような状況がうまれている.そんななかで,この研究者たちは,心理教育モデルを自分たちで作って,それをコートジボワールの難民の人たちに適用して,その介入の前と後でPTGIを実施し,得点の差を発表している.分析方法など問題点がいくつかある論文だけれど,介入の前後でここまで得点が変わるということのおもしろさもあってここで紹介したい. 続きを読む…

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Taku (In Press)

2月 23, 2013 コメントは受け付けていません

Taku, K. (2012, online first publication). Posttraumatic Growth in American and Japanese men: Comparing levels of growth and perceptions of indicators of growth. Psychology of Men and Masculinity. doi: 10.1037/a0029582

自分が書いた論文についてもレビューしてみようと思う.これは単著の論文.私にとって単著の論文は英文ではこれが2本目になる(1本目は,Personality and Individual Differencesに投稿した論文).アメリカの大学では,テニュア制度があり,私たちアシスタントプロフェッサーは,共同研究に加えて,単独の研究も求められる.PTG研究の中心は,どのような条件のもとでPTGが体験されるのかという道筋の解明(予測変数,媒介変数の同定)と,PTGがその後の健康行動や精神的健康にどのような影響を及ぼすのかという作用の解明,そして結局のところどのような介入がPTGにとって効果があるのかという議論に集約されるように思う.ただし,それを可能にするためにはPTGの定義や測定がどうしても不可欠なので,PTGとレジリエンスの関係やPTGとポジティブ・イルージョンの関係など,関連概念の研究もとても重要で,そういう研究が今多くなされていると思う.そういった研究は主流だからこそ,共同研究という形がいいように思うけれど,そういう研究をしながら,私自身考えているのは,PTGIを用いてPTGの研究をしたり発表をしたりすればするほど,PTGIに含まれている項目が「トラウマ後の人間としての成長」の例ですよというメッセージを送り続けることになるというジレンマだ.私は,PTGIを使い続けたとしても,使い方によってはそのメッセージを変えることができるんじゃないかと考えているし,成長の内容は人によって文化によって異なっていいことを伝えることはできると思っているので,この論文でそれを示そうとした.ちなみに,成長の内容は性別によっても異なるため,その部分をすっきりさせるために,この論文では男性のみに焦点を当てて,日本の男性が考える成長とアメリカの男性が考える成長の違いを検討した. 続きを読む…

Levine, Laufer, Hamama-Raz, Stein, & Solomon (2008)

1月 28, 2013 コメントは受け付けていません

Levine, S. Z., Laufer, A., Hamama-Raz, Y., Stein, E., & Solomon, Z. (2008). Posttraumatic Growth in Adolescence: Examining Its Components and Relationship with PTSD. Journal of Traumatic Stress, 21, 492-496. doi: 10.1002/jts.20361

PTG(外傷後成長)とPTSD症状の間の曲線的関係について検討している論文を今もう一度整理していて,そんな中でたまたまみつけた論文がこれ.少し前に,同じJournal of Traumatic Stressに2009年に発表されたKleim & Ehlersの論文をレビューしたけれど,なんとその1年前にLevineらが両者の逆U字関係についてこの論文を出していた!Kleim & Ehlersの論文はいまだに注目を浴びているのに,なぜ見落としていたんだろう.サンプル数も多いのに不思議だ.タイトルかもしれない.Kleim & Ehlersの論文はタイトルに「曲線関係」が入っていたから.でも今回この論文を読んでみて,おもしろい特徴がいくつかあることに気づいた.この論文はPTGIのヘブライ語版を使っていて,PTGIの探索的因子分析を載せている.しかも調査対象は,日本における中学生から高校1年生くらいまでの男女.思春期を対象にした研究はあまり多くないからとても参考になる.

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Fischer (2006)

1月 14, 2013 コメントは受け付けていません

Fischer, P. C.  (2006). The link between posttraumatic growth and forgiveness: An intuitive truth. In Calhoun, L. G., & Tedeschi, R. G. (Eds.), Handbook of posttraumatic growth: Research and practice (pp.311-333). Mahwah, NJ: Lawrence Erlbaum Associates.

PTG研究をしていると,PTGという経験がその後の何に役立つのかという問いがつきまとう.PTGを経験することで,何かの疾病を予防できるのか,症状の進行を遅らせることができるのか,問題行動と呼ばれるような行動を制御できたり,向社会的行動のような望ましい行動をより促進できたりするのか.カルホーンとテデスキがまとめたPTGに関するハンドブックの第16章で,Fischerは,ゆるしとPTGについて論じている.ここで述べられている内容は,2002年に,APA (American Psychological Association) という学会で,テロの後のPTGについてDr. テデスキがメインでシンポジウムが開かれたときに彼女が発表した内容がもとになっている.その頃私は,そんなシンポジウムが開かれていることなど全く知らず,名古屋大学博士後期過程の学生で,PTGの考えやエリクソンの標準的危機の考え方なんかについて名古屋大学の紀要に論文を書いて,これから学位論文をどうまとめようなどと模索していた.

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Kleim & Ehlers (2009)

12月 9, 2012 コメントは受け付けていません

Kleim, B., & Ehlers, A. (2009). Evidence for a Curvilinear Relationship Between Posttraumatic Growth and Posttrauma Depression and PTSD in Assault Survivors. Journal of Traumatic Stress, 22, 45-52. doi: 10.1002/jts.20378

PTG(外傷後成長)とPTSD症状の関係は2012年の今でもまだ議論が続いている.PTGは「危機的な出来事や困難な経験との精神的なもがき・闘いの結果生ずる,ポジティブな心理的変容の体験」と定義されているので,ネガティブな変化であるPTSD症状とは負の相関が見られるはずだと考えられていた.けれども,実際にデータを取ってみると,両者の間に負の相関をはっきりとみとめた論文はほとんどなくて,多くの論文が,弱~中程度の正の相関という結果だった.そこで,研究者たちが,そもそも両者は曲線関係にあると考えるほうが自然なんじゃないかなどと言い始めた頃,それを前面に押し出した論文がJournal of Traumatic Stress (JoTS)から続々と発表された.これがその二番目の論文にあたる.これ以後,私が覚えてる範囲で少なくとも4本は同じJoTSから曲線関係にまつわる論文が発表されている. 続きを読む…

Frazier, Tennen, Gavian, Park, Tomich, & Tashiro (2009)

11月 26, 2012 コメントは受け付けていません

Frazier, P., Tennen, H., Gavian, M., Park, C., Tomich, P., & Tashiro, T. (2009). Does self-reported posttraumatic growth reflect genuine positive change? Psychological Science, 20, 912-919. doi: 10.1111/j.1467-9280.2009.02381.x

PTG研究が始まった1996年以降で,最も影響力の強い論文のひとつがこれだと思う.タイトルからして,「自己報告によるPTGはプラスの変化を本当に反映しているのだろうか?」反語で(いや,反映していないだろう・・・)というメッセージがこめられている.これがまだin press,つまり印刷中の頃,ある学会で私たちがシンポジウムをしているときにフロアから「こういう論文がPsychological Scienceにアクセプトされた,もうすぐ出る」という話が出され,それにどう対応するつもりかと問われ,「いや,読んでないからまだわからない」というのが精一杯だったのが思い出される.内容もさることながら,Psychological Scienceというインパクトファクターの高いジャーナルにPTGが出ること自体少ないので,いろいろな意味で本当に影響力がある. 続きを読む…

Tedeschi & Calhoun (2006)

11月 13, 2012 コメントは受け付けていません

Tedeschi, R. G., & Calhoun, L. G.  (2006). Expert companions: Posttraumatic growth in clinical practice. In Calhoun, L. G., & Tedeschi, R. G. (Eds.), Handbook of posttraumatic growth: Research and practice (pp.291-310). Mahwah, NJ: Lawrence Erlbaum Associates.

今週末,シカゴでPTGについて話をする機会をいただいたので,その準備を兼ねて,PTGをどう臨床場面や実際の生活の中でいかしていくことができるのかアイデアを練るためにこの本をもう一回読んでみた,この本はPTGのハンドブックというだけあって,PTGに関するいろいろな研究が網羅されていて,アメリカ,スイス,オーストラリアなどからのべ29人の研究者がさまざまな立場からPTGについて論じている.この中の第15章で,カルホーンとテデスキーが,彼らのキーワードの一つである「エキスパート・コンパニオン」という考え方を用いて,PTGの道案内をする人の役割をまとめている. 続きを読む…

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Dibb (2009)

10月 27, 2012 コメントは受け付けていません

Dibb, B.  (2009). Positive change with Meniere’s disease. British Journal of  Health Psychology, 14, 613-624. doi: 10.1348/135910708X383598

イギリスの心理学者,Dr. Dibbの論文.PTGの研究では,Growthがおきるきっかけとなる出来事をどう特定するかが難しい.Post-traumatic Growthという名前の構成概念なので,Growthは当然トラウマの後に起きるものだと概念化されている.けれども,2004年のTedeschi&Calhounの論文をはじめとして,あちこちで,PTGは狭義のトラウマのみがきっかけとなって生じるものではなく,より広く何らかのストレスを伴うような出来事,いいにしろ悪いにしろ衝撃的な出来事など本当にいろいろな内容の出来事がきっかけとなり得ることが示されている.私が以前PTGI-Jを使った論文を投稿した際も,査読の中に,「PTGはトラウマから起きると概念化されているのに,長期にわたる介護の後の死別,いじめ,両親の離婚等「トラウマ」とは呼べないような出来事が含まれている.これはどういうことなのか説明するように」といったコメントがあった.Dr. Dibbによるこの論文では,比較的慢性のメニエール病と診断された300名あまりの人が対象となっていて,一過性でなくストレスがずっと続くような場合にもPTGが起き得るということが示されていて,しかも下位尺度別のPTGI平均得点が載っているので,とても参考になる. 続きを読む…

Nightingale, Sher, & Hansen (2010)

10月 19, 2012 コメントは受け付けていません

Nightingale, V. R., Sher, T. G., & Hansen, N. B. (2010). The impact of receiving an HIV diagnosis and cognitive processing on psychological distress and posttraumatic growth. Journal of Traumatic Stress, 23, 452-460. doi: 10.1002/jts.20554

古いJoTSの論文を2本レビューしたので,今日は比較的新しいものを選んでみた.やっぱりこうして比べてみると,見た目も違うし,データ分析も潜在変数を使ってのモデル検討など,かなり洗練されている.この論文では,HIV/AIDSの診断を受けて少なくとも1年以上は経過している人112名が対象となっている.2000年のカルホーンの論文で発表された「Rumination Scale」の改訂版を用いて,2種類の認知プロセスとPTGI(外傷後成長尺度)の関係をみたもので,私の2008年の論文もたたき台として引用されている.2000年のカルホーンらのJoTS論文では,熟考の内容を,侵入的熟考と意図的熟考に分けているにもかかわらず,分析では結局ひとつにまとめてしまって,出来事直後の熟考と調査時点(最近)の熟考の二つにわけて分析しているので,なんともったいない(そうはいっても,意図的熟考の内容がかなりPTGIで測定しているものと重複していたので,しょうがないのかなあ)という感じがしたけれど,そういう部分がこの論文ではきちんとわけてとらえられ,議論されているので,研究としてかなり前進している感じがする. 続きを読む…

Calhoun, Cann, Tedeschi, & McMillan (2000)

10月 16, 2012 コメントは受け付けていません

Calhoun, L. G., Cann, A., Tedeschi, R. G., & McMillan, J. (2000). A correlational test of the relationship between posttraumatic growth, religion, and cognitive processing. Journal of Traumatic Stress, 13, 521-527. doi: 10.1023/A:1007745627077   

PTGI(外 傷後成長尺度)と認知プロセスの関連を見た最初の論文.このJournal of Traumatic Stressというジャーナルに,テデスキーは2012年現在で6本(そのうち5本はカルホーンも共著,でもってそのうち1本は私も共著)論文を出してい て,この2000年の論文が,1996年のものに引き続く2本目.PTGは,出来事から直接おきるものではなく,出来事が起こった後の心理的もがきの結果 起きるということを強調する流れを作ったという意味で,この論文は大きな意味を持つように思う.この論文では,心理的もがきのひとつの側面として,2種類 の認知プロセスを区別して,それとPTGの関連をみている. 続きを読む…

Tedeschi & Calhoun (1996)

10月 14, 2012 コメントは受け付けていません

Tedeschi, R. G., & Calhoun, L. G. (1996). The Posttraumatic Growth Inventory: Measuring the positive legacy of trauma. Journal of Traumatic Stress, 9, 455-471. doi: 10.1007/BF02103658   

PTGI(外傷後成長尺度)を用いた最初の学術論文.PTGというキーワードがタイトルに含まれている最初の論文なので,引用率が高い.この論文は3つの研究から構成されている.

  1. 研究1-先行研究等のレビューから集めた34項目をもとに探索的因子分析(バリマックス回転)を行い,最終的に5因子21項目に絞った過程についてまとめてある.信頼性のチェックが主な目的なので,内的整合性と再検査信頼性について報告されていて,結果はほぼ問題なし(3項目しかない「人生に対する感謝」因子でアルファが.67とちょっと低め).
  2. 研究2-PTGIの妥当性のチェックが目的なので関連がありそうないろいろなパーソナリティー関連の尺度との相関係数を見ていて,例えば,Marlowe-Crowneの尺度による社会的望ましさとPTGI合計得点の間は無相関という結果が得られている.また,LOTで測定された楽観性とPTGIの間は,合計得点及び全下位尺度で弱い正の相関.
  3. 研究3-構成概念妥当性のチェックが目的.トラウマを経験した群としていない群のPTGI得点を比較している.結果,トラウマを経験した群でPTGIが有意に高かった. 続きを読む…
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