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初めての心理学英語論文(北大路書房)

6月 2, 2026 コメントを残す

学術雑誌のエディターの仕事をはじめて4年目。論文を読むのも書くのもずっと前から好きだったけれど、エディターになってからさらに好きになって、どはまり。ユーチューブやっている時間があったら論文の方がずっと楽しい。去年は一年間で450の論文が投稿されて全部読んでる。すっごいいい研究の成果がつまっている論文も、AIとか使って自分では書いてないでしょみたいな味気ない論文もどっちもおもしろい。査読をお願いするとか、論文を投稿してくる人からの質問とかいろいろな理由であっちこっちの研究者とやりとりするようになったけれど、論文が好きという点で話が合う人も増えてきた。で、今日もさんざんに論文をやってたけれど、夏休み中だから、オフィスの蜘蛛の巣とか掃除してたら、本棚に『初めての心理学英語論文:日米の著者からのアドバイス』(シュワーブ・シュワーブ・高橋雅治著)(北大路書房)の本があるのに気づいて読んでみた!そしたら「多くの学生は国際的な学者になりたいと思っている。読者の方々には、日本の心理学者になることだけではなく、国際的な心理学者になることも目標にして欲しいと思う」というところに波線が引いてあって懐かしさがこみ上げた!2003年、名古屋大学の院生時代に買ったらしい。

で、再読しておもしろいと思った点を何点か。

この本にはワープロで書いていた当時の話(修正する時に行ごとに紙を細く切って糊で貼る)とか、ファックスや郵便で論文を郵送していた頃の話、査読者のコメントが赤字で手書きで書かれていた頃の話とか、そういう懐かしい話も載っていて、それはそれで時代を感じるけれど、今でもまさにそのとおりという話の方が圧倒的に多い!例えば、論文で大事なのは「①誰でも改善の余地があること、②繰り返し書き直すことの必要性、③複数の読者のために書くということ、④最終的な結果ではなくコミュニケーション過程としての作文(P.4)」とか、「欧米の編集者の方が、裁定に関してより強い個人的権限を持っている(P.84)」とか。

あと特に心に残ったのは「欧米の編集者の裁定は解釈が難しいことがある。というのも欧米の編集者は再投稿するかどうかについての判断を著者にゆだねることがあるからである。この点では、日本の編集者とのやりとりの方がわかりやすい。日本人の裁定は決定的であることが多いのに対して、欧米の編集者は著者に選択の余地を与えるように思われる(P.85)」という部分。こうしてこの本で読むまで気づかなかったけれど、私も自分が投稿してきてくれた研究者にメールを書くとき、必ず「If you choose to revise…」(再投稿すると決めた場合には)と書くし、メールの最後にも「If you prefer not to make these changes, feel free to submit it somewhere else but let me know so I know you choose to withdraw」(もし査読者とか私が提案するような感じで論文を書き換えるのは、どうもイマイチ気がすすまなくて、今のままで自分の論文を出版したいようなら、他の学術誌に投稿してもらって全然OKです。でも投稿する前に私に知らせてください、そしたらこっちの学術誌への投稿は取り消しという手続きをしておきますから)みたいに書く。それが当たり前と思っていたけれど、この本を読んで、そういえば日本のスタイルはもうちょっと違う感じだったなと思いだした(日本で論文を出したことがほとんどないから自信がないけれど)。

ちなみにカバーレター、ほとんど意味ないとかも同意。

で最後に、なんとなんと見つけてしまった!「もう1つの良い練習法は、雑誌に載っている論文を直接書き写すことである。書いている間は英語を見ないようにして、記憶している部分をできるだけたくさん書いてみるのである。練習を積むにつれてしだいに長い語句や文章を記憶することができるようになる(P.108)」という文章を!てっきり私、自分でこの「写す」やリかた思いついたと思い込んでいたら、まさかこんなところに!失礼しました。

久しぶりに昔読んだ本をもう一度読むと再発見があっていいというのもよく聞く話だけれど痛感した。ではまた!

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