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Archive for 2013年1月

Levine, Laufer, Hamama-Raz, Stein, & Solomon (2008)

1月 28, 2013 コメントは受け付けていません

Levine, S. Z., Laufer, A., Hamama-Raz, Y., Stein, E., & Solomon, Z. (2008). Posttraumatic Growth in Adolescence: Examining Its Components and Relationship with PTSD. Journal of Traumatic Stress, 21, 492-496. doi: 10.1002/jts.20361

PTG(外傷後成長)とPTSD症状の間の曲線的関係について検討している論文を今もう一度整理していて,そんな中でたまたまみつけた論文がこれ.少し前に,同じJournal of Traumatic Stressに2009年に発表されたKleim & Ehlersの論文をレビューしたけれど,なんとその1年前にLevineらが両者の逆U字関係についてこの論文を出していた!Kleim & Ehlersの論文はいまだに注目を浴びているのに,なぜ見落としていたんだろう.サンプル数も多いのに不思議だ.タイトルかもしれない.Kleim & Ehlersの論文はタイトルに「曲線関係」が入っていたから.でも今回この論文を読んでみて,おもしろい特徴がいくつかあることに気づいた.この論文はPTGIのヘブライ語版を使っていて,PTGIの探索的因子分析を載せている.しかも調査対象は,日本における中学生から高校1年生くらいまでの男女.思春期を対象にした研究はあまり多くないからとても参考になる.

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Fischer (2006)

1月 14, 2013 コメントは受け付けていません

Fischer, P. C.  (2006). The link between posttraumatic growth and forgiveness: An intuitive truth. In Calhoun, L. G., & Tedeschi, R. G. (Eds.), Handbook of posttraumatic growth: Research and practice (pp.311-333). Mahwah, NJ: Lawrence Erlbaum Associates.

PTG研究をしていると,PTGという経験がその後の何に役立つのかという問いがつきまとう.PTGを経験することで,何かの疾病を予防できるのか,症状の進行を遅らせることができるのか,問題行動と呼ばれるような行動を制御できたり,向社会的行動のような望ましい行動をより促進できたりするのか.カルホーンとテデスキがまとめたPTGに関するハンドブックの第16章で,Fischerは,ゆるしとPTGについて論じている.ここで述べられている内容は,2002年に,APA (American Psychological Association) という学会で,テロの後のPTGについてDr. テデスキがメインでシンポジウムが開かれたときに彼女が発表した内容がもとになっている.その頃私は,そんなシンポジウムが開かれていることなど全く知らず,名古屋大学博士後期過程の学生で,PTGの考えやエリクソンの標準的危機の考え方なんかについて名古屋大学の紀要に論文を書いて,これから学位論文をどうまとめようなどと模索していた.

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