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Journal of Loss and Trauma

7月 20, 2023

「Journal of Loss and Trauma」という学術雑誌の編集委員長を2023年1月から引き受けています。

その仕事内容は、投稿された論文を読んで、次のステップを決めることですが、この仕事は世界中の研究者と知り合えるし、自分がこれまで取り組んできた研究テーマ以外の論文も否応なく読むことになるので、ものすごくやりがいがあります。もう本当に引き受けてよかったと心から思います。

投稿された論文は、最初に出版社の方がフォーマットや必要事項がOKかどうかチェックしてくださるので、それをパスした論文だけが、私のところに回ってきます。なのでそれを読んで、さてどうしようかと次のステップを決めるわけです。この段階ではだれにも相談せず、自分ひとりで決めます。多くの学術雑誌には、私が引き受けている「Editor」だけでなく、「Associate Editor」がたくさんいます。なので、Editorは、わりとすぐAssociate Editorに回しちゃうんですが、私の場合、Associate Editorは一人しかいません。なので、私がすべて読んで判断しています(で、OKの論文をAssociate Editorに回しています)。

よく書けている論文なら、すぐに査読に回します。最低でも二人の査読の先生にお願いしなければならないので、テーマが合致している先生にお願いしますが、断られることもあるので、そしたらまた別の先生にお願いします。

よく書けていても、テーマが合っていない場合には分野が違うので、もっとぴったり合う別のジャーナルに投稿した方がいいです、うちでは査読に回せないです、とお返事します。

テーマはぴったりなんだけれど、議論が弱かったり、分析に問題があったりして、これを査読に回しても結局、査読者がその点を指摘してリジェクトと言う可能性が高いような場合には、私がそれを先取りして、せめて、この点だけ修正してもう一度投稿してくれませんか、そしたら査読に回しますからみたいな返事をしています。この場合「Submission back to authors」とタイトルに書いて、査読のまだ手前なんだということが伝わるようにしています。

で、最後はにっちもさっちもいかないというか、学術論文としてのレベルにあまりにも届いていないような論文の場合には、リジェクトと判断しています。

でも私は、自分が編集委員長を引き受けるからには、リソースがたっぷりの研究者(お金があって、動ける人員もたくさんいて、介入研究のためのシステムもばっちりみたいな)でなくても、論文を発表することに意義はあると信じてやっていこうと決めていました。なのでリソースが足りない研究者もできる限りサポートして、著者や査読者が偏らないようにがんばっています。

日本の皆さんもぜひ「Journal of Loss and Trauma」に論文を投稿してください。そして英文で論文を投稿したら、ぜひ査読も引き受けてください。きっと勉強になりますから。

そんなこんなで、「オープニングの論文」を書きました。

JLTの創設者であるJohn Harveyもリタイアすると決めた時、「論文を書いています。なのでそれに対する返事みたいなものです。

ちなみに、その論文の中で、Johnは「Turn! Turn! Turn! (To Everything There Is A Season)」という Pete Seegerによる音楽を紹介しました。それを聞いて、私は、中島みゆきさんの「時代」が浮かびました。Turn Turn、回る回るって、いかにもでしょう。なので、私のオープニングの論文にはそれを紹介しました。ちょうど英訳を載せてくれてあるユーチューブを見つけたので、それをJohnにも紹介したというわけです。

いろいろなことがありますが、「Journal of Loss and Trauma(喪失とトラウマを専門に扱うジャーナル)」は、誰も、無関係ではいられないテーマを扱っている雑誌ですので、ぜひ興味を持ってもらえたらと願っています。これからもどうぞよろしくお願いします。

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