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出版物
12月20日,医学書院からPTGハンドブックの日本語訳が出版されました.タイトルは,「心的外傷後成長ハンドブック耐え難い体験が人の心にもたらすもの」です.
- その他には,「外傷後成長に関する研究(風間書房,2010)」や,近藤卓先生編著の「PTG 心的外傷後成長: トラウマを超えて(金子書房,2012)-私はその中のひとつの章を担当」があります.
- 3月に新刊「悲しみから人が成長するときーPTG」が風間書房から出版予定です.目次の概要はこのようになっています.
- 第1章 悲しみからの成長
- 第2章 PTGとは
- 第3章 PTGのきっかけ
- 第4章 PTGを手助けしてくれるもの
- 第5章 PTGの実感にとってさまたげとなるもの
- 第6章 PTGの実際の語り
- 第7章 東日本大震災をきっかけとしたPTGのアンケート調査の結果
- 第8章 PTGのその後:PPTG
- アクセプトされたばかりの論文は下記の3本です.出版されるのは来年以後ですので,興味のある方は連絡ください.論文をメールでお送りします.
- Taku, K. (in press). Relationships among Perceived Psychological Growth, Resilience and Burnout in Physicians. Personality and Individual Differences.
- Taku, K., & Cann, A. (2014). Cross-national and religious relationships with posttraumatic growth: The role of individual differences and perceptions of the triggering event. Journal of Cross-Cultural Psychology, 45, 601-617.
- Taku, K., Tedeschi, R. G., & Cann, A. (in press). Relationships of posttraumatic growth and stress responses in bereaved young adults. Journal of Loss and Trauma.
- その他の出版物や論文に関しては,このページをクリックしてください(日本語の論文は下記の3本のみです).
- 宅香菜子 (2004). 高校生における「ストレス体験と自己成長感をつなぐ循環モデル」の構築−自我の発達プロセスのさらなる理解にむけて− 心理臨床学研究, 22, 181-186.
- 宅香菜子 (2005). ストレスに起因する自己成長感が生じるメカニズムの検討−ストレスに対する意味の付与に着目して− 心理臨床学研究, 23, 161-172.
- 宅香菜子 (2010).がんサバイバーのPosttraumatic Growth:特集/がん患者のサバイバーシップ. 腫瘍内科(科学評論社), 5, 211-217.
- 来年2014年5月に福島で開催される日本トラウマティック・ストレス学会 (JSTSS),8月にワシントンで開催されるアメリカ心理学会(APA),及び11月に神戸で開催される日本教育心理学会第56回に参加予定です.
- PTGを質問紙によって測定するために使われているPTGI(Posttraumatic Growth Inventory)について,その中の「精神性的な変容(Spiritual Change)」に関する項目の問題点を補うために,8つの追加項目が準備されました.公に発表されるのは2014年の夏になりますが,興味のある方は私の方までメールください(taku@oakland.edu).
- 履歴書(日本語)はここに,履歴書(英文)はここに載せてあります.
Phelps, McCammon, Wuensch, & Golden (2009)
Phelps, K. W., McCammon, S. L., Wuensch, K. L., & Golden, J. A. (2009). Enrichment, stress, and growth from parenting an individual with an autism spectrum disorder. Journal of Intellectual & Developmental Disability, 34, 133-141. doi: 10.1080/13668250902845236
PTGの研究は,文字通り,「トラウマ」を経験せざるを得なかった人たちを対象として積み上げられてきたけれど,ここ数年はそれを他の対象にも応用できないだろうかという観点から,狭義の「トラウマ」を必ずしも経験していない人たちのPTGが多く研究されている.それには,「トラウマ」とは呼ばないけれど「非常にストレス」な出来事(例えば受験の失敗や失恋)を経験した人たちを対象とした研究もあれば,看護士や社会福祉士,医師,臨床心理士,救急救命士など心身の健康にかかわる専門職についている人たちを対象とした研究もある.そして,そのような応用例の一つが,この論文にあるような,発達障害を抱えた子どものお父さんやお母さんにみられる成長だ.この領域の論文はまだ数が少ない.この論文の著者が言っているように,発達に問題を抱えた子どもの療育に関してはその大変さが特にクローズアップされてきたという歴史があるからだと思う.けれど,それにもまして,この領域の研究の難しいところは,「子どもとの毎日のなかで,自分自身が成長させられている」との実感がなぜもたらされるのかを,理論的にどう説明するかが難しいところにあるように思う.認知プロセスを強調した今のPTGモデルでは説明されえない要因がたくさんある.この論文の著者は,「自分の子どもが,他の多くの子どもたちがたどるような典型的な発達の道筋と違う」ということに気づいて,はっとすることが,PTG理論で説明されているような,認知機能を突き動かすきっかけになり得ると仮定して,この研究を行っているようだ.