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Tomich & Helgeson (2012)
Tomich, P. L., & Helgeson, V. S. (2012). Posttraumatic growth following cancer: Links to quality of life. Journal of Traumatic Stress, 25, 567-573. doi: 10.1002/jts.21738
PTGに関する研究が「研究のための研究」に陥る危険性と常に隣り合わせになっており,研究の意義が問われ続ける理由には,PTGそのものが介入の目標になりえないという点が挙げられる.それはDrs. Tedeschi & Calhounの論文の中でも繰り返し述べられているし,先のPTG&レジリエンス第3回研究会でも議論されたことである.この論文の著者もまた,アブストラクトを,「Clinicians should consider the notion that more growth may sometimes, but not always, be better」という一文で結んでいる.本研究は,がんの診断を受けた患者を対象に,PTGとQOL (Quality of Life)の関係を検討したものである.PTGの関連概念であるベネフィット・ファインディング(知覚された恩恵)を測定する尺度であるBenefit Finding Scaleを用いてこれまでに多くの論文を発表してきている二人の研究者が,この調査ではPTGIを用いているところが興味深い.ただし,PTGIをそのまま用いるのではなく,彼らなりに修正したものを使用している.このあたりも,先のPTG&レジリエンス第3回研究会で議論にのぼったように,尺度を対象・目的に応じてどんどん進化させてやるというアイデアのいい例になっている.
PTG・レジリエンス第3回研究会終了
PTG・レジリエンス第3回研究会が終わった.話題提供を引き受けてくださった先生方の話に大変引き込まれ,私は一番前の席でノートをとりまくった!もっと司会の役割を果たしたほうがよかったかもしれないし,来てくださった方々がもっとディスカッションできるような場にするためのファシリテーターとしての役割を果たしたほうがよかったかもしれないけれど,私は自分たちが今進めている研究のためのヒントが話題提供者の先生のところからどんどん出てくるので,はっきりいってそれどころではなかった.自分のノートから一番記憶に残った点だけまとめておく.