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「PTGの可能性と課題」(2016)
10月 26, 2016
この11月,27名の著者からなる「PTGの可能性と課題」が金子書房から出版されます.
―「はじめに」から一部抜粋―
本書は,「ポストトラウマティック・グロウス(心的外傷後成長)」,すなわち非常につらい出来事をきっかけとした人間としての成長という現象,およびその近接領域のテーマに関して,これまでどのような研究がなされてきたか,そして臨床実践がどう積み上げられてきたか,今後の可能性と課題を一冊に集約したものである.そのテーマは,ポストトラウマティック・グロウス(Posttraumatic Growth)の頭文字を取って,PTGと呼ばれている.PTGとは,心的外傷を引き起こすような大変つらい出来事や突然の不幸な出来事など,危機的な状況に直面した人々が,さまざまなストレスを経験しつつも,それと向き合う結果生じる人間としての成長を表す.」本書の構成は以下のようになっている(著者名の敬称略).
- 第Ⅰ部「PTGの定義と理論的枠組み」
- 第1章「PTGとはー20年の歴史」宅香菜子
- コラム「PTGと熟考・信念の揺さぶり」上條菜美子
- 第2章「成長の旅路を伴走するーサバイバーの語りから学んだこと」開浩一
- 第3章「がん医療におけるPTG研究と臨床への活用」清水研
- 第4章「がん患者や,きょうだい・家族を対象としたPTG研究」副島尭史・大城怜・上別府圭子
- コラム「PTGと小児科臨床」小澤美和
- 第5章「PTGと自尊感情にまつわる研究をもとに」近藤卓
- 第Ⅱ部「近接概念の研究から見るPTG」
- 第6章「アスリートにみられる危機的事象からの成長」中込四郎
- コラム「大きなストレスを経験している人にこそスポーツを」荒井弘和
- コラム「スポーツ場面におけるレジリエンス」上野雄己
- 第7章「ベネフィット・ファインディングー精神疾患をもつ人々を対象とした研究をもとに」千葉理恵
- コラム「体験の意味づけとPTG」堀田亮
- 第8章「パーソナリティ研究から見た『成長』」小塩真司
- コラム「交通外傷後のPTG」西大輔
- コラム「思春期のPTGとレジリエンス」平野真理
- 第9章「存在脅威管理理論(terror management theory)から見たPTG」脇本竜太郎
- 第Ⅲ部「心理臨床から見るPTG」
- 第10章「PTGとソリューション・フォーカスト・ブリーフセラピー」若島孔文
- コラム「仮設住宅住民におけるPTG」張新荷
- コラム「PTGと被災者支援」森川夏乃
- コラム「震災前後の幸福感の変化」内田由紀子
- 第11章「認知行動療法から見たPTG」鈴木伸一
- コラム「PTGと援助要請行動」松井智子
- 第12章「複雑性悲嘆における心的外傷成長」伊藤正哉・中島聡美・新明一星
- 第13章「PTG:その可能性と今後の課題」宅香菜子
「『人が危機をきっかけとして成長する』とはどういうことかに関して,世界で統一見解があるわけではない.人によって,社会によって,解釈や考え方は異なる.本書にはそのうち27名の研究者および臨床家の議論が展開されており,その多様性の一端がうかがえるはずである.今後どのような研究上の,そして実践上の取組みが必要かについて考えるきっかけになればと願う(「はじめに」より抜粋)」
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