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Gregory & Prana (In Press)

2月 23, 2013

Gregory, J. L., & Prana, H. (2013, online first publication). Posttraumatic Growth in Cote d’lvoire refugees using the companion recovery model. Traumatology. doi: 10.1177/1534765612471146

PTGは介入研究が難しい.PTGIを使って介入の効果を測定するのはもっと難しい.つらい出来事を経験した後でそこから何か恩恵や意味を見出すことができたかどうか,何か得たものがあったかどうかということとPTG,つまり人間としての成長を同じようなものだととらえるならば,何らかの介入の後で,今まで見えていなかったことに気づきを得ることは充分あると思う.というより,PTGは介入によって影響されるようなものではないということが言えてしまったらこわいし,PTGの研究者としては,介入の可能性があると信じてやっている.その上で,介入は本当に難しい.というのも,PTGはそれがなくても生きていけるようなものだと考えられているし,逆に,言葉にならないようなつらい思いを経験した人に,成長の可能性まで期待するなんて,そんな酷なことはないという見方をする人もいる.つまり,おまけのような要素が強いので,心理臨床家はそれを求めたり,ましてや成長を焦らせたりするようなことは絶対にあってはならないと言われている.そのために,PTGに直接第三者が介入できることを考えることにさえ,二の足を踏むような状況がうまれている.そんななかで,この研究者たちは,心理教育モデルを自分たちで作って,それをコートジボワールの難民の人たちに適用して,その介入の前と後でPTGIを実施し,得点の差を発表している.分析方法など問題点がいくつかある論文だけれど,介入の前後でここまで得点が変わるということのおもしろさもあってここで紹介したい.

  • 心理教育モデル(コンパニオン回復モデル)-テデスキー先生とカルホーン先生の著作の中で紹介されている「エキスパートコンパニオン」の役割に関連させて,10のモジュールからなる介入プログラムが組まれている.(1)トラウマとなる出来事及びそれへのコーピングについて,(2)カプセル化(トラウマの記憶についての教育プログラムのようだけれど詳細は不明),(3)トラウマとなる出来事が心身に及ぼす影響について,(4)トラウマとなる出来事の衝撃について人やコミュニティーがどのように認識しているかについて,(5)リリース(トラウマに関する真実について共有されるとあるけれど詳細は不明),(6)レジリエンスについて,(7)トラウマから学んだことを日々の生活にいかすという実践について,(8)トラウマを経験した今の自分を新しい自分として認識することについて,(9)新たな自分として学んだことをもとに,自分が暮らす社会に前向きに貢献して,まわりの社会を再構築していくことについて,そして(10)まとめ.これらのモジュールは,ピアサポート理論やゲシュタルト理論,認知行動療法,TIR(Traumatic-incident reduction)理論,レジリエンス理論などを統合したものとなっている.
  • 方 法ー18歳から56歳まで男女50名が対象.
  • メ インの結果-対応のあるt検定を男女別,PTGIの領域別に行っている.その結果,「精神性的変容」以外のすべての下位尺度で有意な結果が得られた.介入の前と後で比較して,介入の後のほうが一貫して点数が高い.人間としての強さの領域では平均だけ見ても5点以上上がっている.

PTGについての心理教育を行うことについては,様々な意見がある.PTGとはこういうものですよ,こういう領域で経験されることがわかっていますよ,こういう特徴があることがわかっていますよ,などと話すことで,本当につらい思いをしたばかりの人をより傷つけてしまうのではないかという疑問はもちろんのこと,それを聞いてPTGIの得点があがったとして,それがなぜ本当の成長を反映していると言えるのかという疑問がつきまとうからだ.この論文でもプログラムの前後でのPTGI得点の差がものすごく大きいため,一体なぜ?と思わざるを得ない.実はこの論文の筆者であるジェニファー・グレゴリー氏とは去年のAPAで一緒にPTGのシンポジウムをする予定だった.でも残念ながら彼女は事情があってフロリダにこれなかったので,会ったらいろんなことを聞いてみたいと思っていたのがいまだかなわずにいる.PTGの介入に関して論文を出すのはなんとなく勇気のいることのように思っていたけれど,近頃はようやく,やらないと始まらないかなと思うようになってきた.ちょうど金曜日に,テデスキー先生とカルホーン先生からPTGの臨床についての本が届いたところだし.この本を書かれていたのは知っていたので,表に出てとてもうれしい!ちょうど注文しようと思っていた矢先に先生が送ってくださったのでナイスタイミングでうれしさも倍増.本の題名は「Posttraumatic growth in clinical practice」です:)

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