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Nightingale, Sher, & Hansen (2010)
Nightingale, V. R., Sher, T. G., & Hansen, N. B. (2010). The impact of receiving an HIV diagnosis and cognitive processing on psychological distress and posttraumatic growth. Journal of Traumatic Stress, 23, 452-460. doi: 10.1002/jts.20554
古いJoTSの論文を2本レビューしたので,今日は比較的新しいものを選んでみた.やっぱりこうして比べてみると,見た目も違うし,データ分析も潜在変数を使ってのモデル検討など,かなり洗練されている.この論文では,HIV/AIDSの診断を受けて少なくとも1年以上は経過している人112名が対象となっている.2000年のカルホーンの論文で発表された「Rumination Scale」の改訂版を用いて,2種類の認知プロセスとPTGI(外傷後成長尺度)の関係をみたもので,私の2008年の論文もたたき台として引用されている.2000年のカルホーンらのJoTS論文では,熟考の内容を,侵入的熟考と意図的熟考に分けているにもかかわらず,分析では結局ひとつにまとめてしまって,出来事直後の熟考と調査時点(最近)の熟考の二つにわけて分析しているので,なんともったいない(そうはいっても,意図的熟考の内容がかなりPTGIで測定しているものと重複していたので,しょうがないのかなあ)という感じがしたけれど,そういう部分がこの論文ではきちんとわけてとらえられ,議論されているので,研究としてかなり前進している感じがする. 続きを読む…
Calhoun, Cann, Tedeschi, & McMillan (2000)
Calhoun, L. G., Cann, A., Tedeschi, R. G., & McMillan, J. (2000). A correlational test of the relationship between posttraumatic growth, religion, and cognitive processing. Journal of Traumatic Stress, 13, 521-527. doi: 10.1023/A:1007745627077
PTGI(外 傷後成長尺度)と認知プロセスの関連を見た最初の論文.このJournal of Traumatic Stressというジャーナルに,テデスキーは2012年現在で6本(そのうち5本はカルホーンも共著,でもってそのうち1本は私も共著)論文を出してい て,この2000年の論文が,1996年のものに引き続く2本目.PTGは,出来事から直接おきるものではなく,出来事が起こった後の心理的もがきの結果 起きるということを強調する流れを作ったという意味で,この論文は大きな意味を持つように思う.この論文では,心理的もがきのひとつの側面として,2種類 の認知プロセスを区別して,それとPTGの関連をみている. 続きを読む…