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Fleeson (2014)
Fleeson, W. (2014). Four ways of (not) being real and whether they are essential for post-traumatic growth. European Journal of Personality, 28, 336-337. doi: 10.1002/per.1970
去年のサバティカルをきっかけに研究テーマを広げたので,勉強することがたくさんある.それぞれのテーマの背景や歴史を知らないこともあって,論文を読むのにも時間がかかる.とは言え,新PTGハンドブックの執筆は続いていて,今週は「PTGを本物―幻と分類すること」についてどう考えるか,という章を執筆している.来週からは臨床実践の章に入る.ちょうど昨日,うちの大学では大学院生の面接があったが,私のラボに応募してくる学生の多くがこの「本物のPTGと幻のPTG」というテーマを修論ないしは博論にしたいと考え,さまざまなアイデアを持ち込んでくる(ちなみにアメリカでは大学ごとの院試はなくて,GREというテストがあり,その結果とGPAとカバーレターと推薦書等を総合して決める).さて,院生のみならず多くの研究者がこの部分をなんとか解決しようとここ数年,躍起になっているが,「別に解決しなくてもいい場合もあるんじゃない?」という論考があったのを思い出したので,それをレビューしたい. 続きを読む…
Johnson & Boals (in press)
Johnson, S. F., & Boals, A. (in press). Refining our ability to measure posttraumatic growth. Psychological Trauma: Theory, Research, Practice, and Policy. doi: 10.1037/tra0000013
来週APA(American Psychological Association)の学会が始まる.私は水曜日(8/5)から日曜日(8/9)までフルで参加の予定だ.学会への参加はなるべく年に1回と決めているので今年はこれ一本.特に楽しみなのは最終日のシンポジウムで,Rich Tedeschiとも一年ぶり.Jane Shakespeare-Finchとは数年前のISTSS(International Society for Traumatic Stress Studies)以来なので話したいことがたくさんある.で,今日レビューする論文はこのAPAのDivision56 トラウマに関連する部門が発行しているジャーナルにアクセプトされたものだ.今回この論文を選んだのは,読んですぐにため息が出るくらい「すごく勉強になる」と思ったからだ.多分一週間くらい前だと思うけれど,最初読んだとき図書館にいたにもかかわらず,「なるほど」と声が出たくらいだ.私がPTGマニアだから特にそう思ったのかもしれないけれど. 続きを読む…
Frazier, Tennen, Gavian, Park, Tomich, & Tashiro (2009)
Frazier, P., Tennen, H., Gavian, M., Park, C., Tomich, P., & Tashiro, T. (2009). Does self-reported posttraumatic growth reflect genuine positive change? Psychological Science, 20, 912-919. doi: 10.1111/j.1467-9280.2009.02381.x
PTG研究が始まった1996年以降で,最も影響力の強い論文のひとつがこれだと思う.タイトルからして,「自己報告によるPTGはプラスの変化を本当に反映しているのだろうか?」反語で(いや,反映していないだろう・・・)というメッセージがこめられている.これがまだin press,つまり印刷中の頃,ある学会で私たちがシンポジウムをしているときにフロアから「こういう論文がPsychological Scienceにアクセプトされた,もうすぐ出る」という話が出され,それにどう対応するつもりかと問われ,「いや,読んでないからまだわからない」というのが精一杯だったのが思い出される.内容もさることながら,Psychological Scienceというインパクトファクターの高いジャーナルにPTGが出ること自体少ないので,いろいろな意味で本当に影響力がある. 続きを読む…